先生が教えて。
第31章 新たに
「え、ええ!?
駄目だって…!
総司にも、一緒に暮らしている人にも迷惑かけちゃう…!」
「じゃあ、奪って来い。
総司は私のよーって。
とにかく行くぞ。
いつまでもうじうじすんな!」
隆司は半ば強引に私の腕を引っ張って車に乗せた。
私を助手席に座らせると、無言で車を走らせる。
「知ってるの…?
総司の家。」
「まぁな」
「じゃあ、総司がこっちに帰って来てた事も知っていたの…?」
「…」
黙り込む隆司。
そしてとあるマンションの前で車を止めた。
「このマンションの205号室。
後は本人に聞け。
ちゃんと話し合えよ。
じゃーな」
「えっ、ちょっ…」
隆司は私を車から追い出すと、さっさっと車を走らせて去って行った。
(強引すぎる…!)
でも来たからには…
「行ってやろうじゃない…!」
私はこれまでの出来事で心が強くなったのか、変な勇気が湧いて来た。
もう、涙は枯れていた。