テキストサイズ

身代わりH

第15章 *条件






何年かぶりに入ったお兄ちゃんの部屋は、お兄ちゃんの性格を表わすようにきちんと整頓され、ワントーンで統一されたシンプルな部屋だった。




少し緊張したけれど、お兄ちゃんのプライベートに踏み込むことが出来た気がして、うれしくなった。




「…なにか用か」




だけどそんなあたしに向けられたのは抑揚のない問い掛け。




予想通り机に向かっていたお兄ちゃんからすれば当然の問いだったのかもしれないけど、あたしの頭は真っ白になった。





「-…っ…」




…何て言えばいいの…?




…あたし、何て言うつもりだった…?




-毎晩お兄ちゃんとのHを想像してました、抱いて下さい、なんて言えない。




…でも…でも、お兄ちゃんはすぐそこにいる。




…デスクスタンドの明かりでツヤツヤしてる髪に触れたい。
そしてその広い背中にぎゅって抱き着いて…キスしたい…。




…だけど…そんなことあたしの口からは…っ。




「…なんだ…言いたいことがあるなら言え」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ