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身代わりH

第16章 *…実行

“え~楠はこの内容で全国大会に進出が決まっている。興味がある者は〇月〇日、渋谷の厚生年金会館にて…”




途端にザワザワと騒がしくなり、現国の先生が簡単に閉会の挨拶をする中、お兄ちゃんは檀上で原稿の片付けをしている。




…終わっちゃった…。




あたしは夢から覚めたような気持ちでぼーっとしながら、退場していく3年生を眺めていた。




…でも…どうしよう…。

どうやって知らせよう…?




せっかく意を決してお兄ちゃんの言う通りにしてきたけど、それをお兄ちゃんに気付いてもらわないと意味がない。




2年生が退場し、自分達1年生が退場の番になりユミちゃんと合流してからも、あたしはお兄ちゃんのことばかりを考えていた。




…かといって…学校で話しかけると怒られるし…。




帰りに待ち伏せするしかないのかな…。

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