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身代わりH

第16章 *…実行

「桃?どしたの?」




少し上の方ではユミちゃんが不思議そうな顔で立ち止まっていた。




…どうしよう…。




とにかく、人がいなくなるまで待つしかない。




ユミちゃんには先に行っててもらおう、そう思った時。




「雅」




後ろで聞き慣れた声がした。




-えっ?




それは紛れも無くお兄ちゃんの声で。




あたしが後ろを振り返ると、明らかに不機嫌な顔をしたお兄ちゃんが階段の下に立っていた。




お兄ちゃんはあたしと目が合うと、1年生の列の間を縫ってあたしに近付いてくる。

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