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身代わりH

第1章 *私とお兄ちゃん

-キュッ、キュキュッ。



バッシュが床をこする音が体育館でいくつも響いていた。



コートを取り囲むようにして並んでいる女子達のお目当ては-…楠拓真(くすのき・たくま)、3年生。



拓真は見事なドリブルでカットを振り切ると、鮮やかにシュートを決めた。



「キャーッッ、楠先輩!」



途端に黄色い声をあげる1年A、B組女子達。



と、ちょうどその時、授業の終わりを告げる鐘が鳴った。

同時にホイッスルが響いて試合終了となる。


-カッ…コイイ…。


クラスメイトに肩をどつかれ笑顔で笑い合いながら、無造作に前髪をかきあげる拓真。



雅(みやび)はその拓真に見とれていた。

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