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身代わりH

第21章 *消えない温もり

だけどあたしには…お兄ちゃんに関係を切られた喪失感がまだ尾を引いていて、とても喜ぶ気にはなれなかった。




『お遊びは終わりだ』




そう言われてから、あたし達の関係は何もなかったように以前の関係に戻っていた。




…ううん、以前…よりひどいかもしれない。




学校ではもちろん話なんてしないし、家でも食事以外で顔を合わすことはほとんどなかった。




それは、泣き腫らしてる顔を見られたくなくて意識的に避けてるあたしのせいなのか、お兄ちゃんがそうしているのか…わからなかったけど、会わない分、話さない分、愛しさや切なさは何倍に膨れ上がり、想いの大きさを日々実感する。




…わかってたはずだった。




あたし達は兄妹。




今は同じ家に住んでいても、いずれ別々の道を歩むことになる。




そしてそれが結婚という道だとしても…あたしは家族として、笑って祝福してあげなきゃいけない。




そう、いつかは…離れなきゃいけないということ。




…わかってて好きになった。

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