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身代わりH

第8章 *サッカー

「手加減なんかするか。弛んでるお前らが悪い!」




お兄ちゃんはそう言ってボールをセンターラインに蹴り返した。




「もう1本行くぞ!」




「マジっすかぁ~」




後輩達がゾロゾロとポジションに戻る中、お兄ちゃんはあれこれと指示を出している。




その様子を遠くから眺めていたあたしは自然と笑みが零れた。




…お兄ちゃんがサッカーしてるとこ…、久しぶりに見たけどやっぱりカッコイイ…。




お兄ちゃんが引退するまでは、こうしてユミちゃんにくっついて来ては、よくお兄ちゃんを盗み見てた。



でも、それすらもお兄ちゃんはよく思ってなくて、よく怒られてたっけ…。




そう回想に浸ったあたしの耳に、ユミちゃんのため息が聞こえて来た。




「ホントもったいないよねぇ」



「…え?」

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