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身代わりH

第8章 *サッカー

我に返ったあたしは、ジャージ姿のユミちゃんを見る。




「お兄さんのこと!プロスカウト蹴ったんでしょ?あんな上手いのに…もったいないなあと思ってさ」




「…うん…」




「だって…ホラ、現役の2年生がめっちゃ抜かれてるじゃん!」




ユミちゃんの声に視線を戻すと、お兄ちゃんが見事なフェイントでディフェンダーの2年生を抜いてゴールに近づいて行くところだった。




ピピーッ!




お兄ちゃんが2点目を決め、再びホイッスルが鳴り響いた。




「雅、なんか聞いてないの~?進学を選んだって聞いたけど、小学校からやってたのに…Jリーガーになりたいって思ったことないのかな?」




「…うん…あたしも不思議…」




中学までのお兄ちゃんは、ホントサッカーが大好きで、Jリーガーになるんだって張り切ってた。県の選抜メンバーに選ばれて海外遠征まで行ったりして、高校もサッカー名門の全寮制高校に推薦入学が決まってた。

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