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オタクのペット

第12章 一緒にすんな

「私…私は永田の事、本気で好きって…何も元旦那に伝えなくても…気が付かれてた…永田を好きだって、表面にもう出てるって…雰囲気が柔らかくなったって…言われたの」

私でも、この歳で、他人によって、良いふうに変われるんだなぁって思った。

口先で偉そうな言葉は言っても。

甘えてる。

一人じゃ、何も出来ないんだって事も。

分かった。

永田の言葉が心に染みていくからこそ、雰囲気が柔くなっていってるんだって。

私にとって、永田の存在は、大きいって。

改めて、感じた。

「謝るしかないもん…謝るしか…。ごめんなさい…ごめんなさい。私、永田に嫌われたくないよ…ごめんなさい。大好きって…やっと本気で気が付いたのに…ごめんなさい…」

こうやって、永田の事で自然に涙が出ちゃうのも、大好きなんだって、証拠なんだって、分かって欲しい。

「永田ぁ…好きだよぉ…もう二度と嘘付かないから…絶対約束するから…」

永田は私に背を向けたまま。

「俺は今日、おまえの荷物をリサイクル業者に預けたり、おまえの残りの荷物を片付けたり、一人でやってたんだ…」

永田は拳を握り締めてる。

いいよ、殴りたければ殴ってくれて構わない。

「おまえと二人で、そういうの本当はしなきゃならないって思いながら、一人で片付けてた。これで、一つおまえへの信用度が俺の中でマイナスされた…」

「ごめんなさい」

どうしよう、怒ってるよりも悲しんでる?

「何度も謝りやがって。謝りゃ済むと思うなって。俺はおまえの事、大好きなんだよ!…なのに、許せない」

振り返り、凄い顔して、私に向かってやって来る。

殴られる!?

私は涙を流しながら、思いっきり目をつむった。

「バカヤロー!…」

ふわっと、大きく、両手で深く抱き締められた。

「…永田ぁ~…!…ふへぇ~ん!!…」

柔らかく、優しく、温かく。

静かに、深く、強く。

「だけど…許す」

ググッと、息も出来ないくらいに、強く抱き締められて、永田は言った。

「もう絶対嘘はつくな。悲しくなるから…なぁっ?…」

チュッ…

もう涙、止まんない。

永田は、私のおでこにキスをして、覗き込まれた。

うわっ…やっと、私に笑ってくれた。

とっても、優しい笑顔で。





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