ドリームSEXカフェ
第17章 ルージュの唇
「え……ドレスデン・波希?」
毛布に包まっていたのは…
スレンダーを通り越した…
やせ細っている…
波希だった…
「なぜ…遠藤さんがいるの?」
波希も…何故俺が目の前にいるのかが不思議そうな顔をしていた…
「…カフェの…」
言いかけたが…説明しにくいと思いやめた…
『初めてだわ…私の悪夢に…誰かが出てくるなんて…』
夢…?
ここは…俺の願望…の世界ではなかったのか?
波希の悪夢の中…
「…遠藤さんはやめてくれ…陸…の方が呼びやすいだろ?」
『えぇ…ありがとう…陸』
力無く笑う顔は窶れていた…
夢と言われれば納得してしまう…
波希は昨日、生放送のテレビで笑っていた
その姿は、極度に痩せてはいなかったからだ…
「波希…その姿は?」
波希はハッと驚き…
毛布で体を隠した…
『……悪夢の中だと…このガリガリの体なの…
…髪もボサボサ…唇はカサカサ…腕も足も…細すぎて気持ち悪い…』
波希は…小さくなり…ベッドの影に隠れた…
悪夢の中の波希は…自分の体に怯えているようだった…
「波希…話をしよう…」
俺は…小さく震える波希をそっと抱き寄せた…
『…陸…は、気持ち悪くないの?』
「気持ち悪くないよ。
波希は波希なんだろ?」
波希は毛布から…顔を出した…
「…なんか、ハムスターみたいだな。穴から顔出して」
『…ここ最近、この悪夢を見るの。
痩せすぎて…ギスギスの自分…
鏡を見るのが怖いの…
現実で、食事制限とか…ストレッチ…ヨガやジム…
いつも体のラインを気にしてるから…ストレスだとは思うんだけど…
何度も何度も見るの…
その内…自分の本当の体が解らなくなりそうで…
怖い……』
波希は…極度の疲労とストレスで…体調管理が夢に影響しているのだろう…
俺は痩せた頬を優しく撫でた…
雑誌や看板、テレビで見るような波希の姿ではなかったが…
俺には今の波希が、可愛く思えた…