ドリームSEXカフェ
第20章 ロミオとジュリエット…
「コーヒー一つ…」
『かしこまりました…』
注文しながら、席についた
客はどうやら俺だけのようで…気が抜けてしまった…
どっと疲れがでてしまった…
『どうされましたか?お疲れのようですが…』
オーナーはコーヒーの準備をしながら声をかけてきた
「えぇ…縁談が決まりました。」
俺は、テーブルに両手を組み…話した
『それは、よかったじゃないですか。おめでとうございます。』
祝福の言葉だったが…
俺は上手く笑えなかった…
『……どうか…されましたか?』
「…うれしいです!
でも…心残りも…あるんです。」
俺は準備されてゆくコーヒーの行方を目で追った…
焙煎されたコーヒー豆を粉にする工程…
ガリガリと豆の砕かれる音…
『お客様…奥の扉が見えますか?』
「え…はい。立派な扉ですね…」
オーナーは砕く作業を止め…
扉の前に立った…
『ここの正式店名は
【ドリームSEXカフェ】…
お客様の願望を体験できる不思議なカフェです。
心残りのまま結婚されても…辛いだけ…
夢の中だけでも…思いをぶつけてみてはいかがですか?』
扉がゆっくり開く…
夢の中で…思いを…
微かな望みでもいい…
吐き出して…しまいたかった…