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あたしは被害者

第6章 ママの彼氏

「りょうちゃんは
すっごくいい人なのよ〜」


桶川 良輔というらしい。


てゆか、
りょうちゃんはって…。


あたしのパパは
悪かった人みたいじゃん。

まぁ、悪くなかったら
離婚なんてしないよね。



「パソコン関係の仕事を
家でしてて、
県内に住んでるから
すぐに会いに行けるのよ〜」


「へぇ…。
あ、コーヒーとか
飲みますか?」


あたしは桶川の返事
を聞かず、
そのままキッチンへ向かった。


「笑みちゃん
いい子だねぇ…」


キッチンとリビングを
さえぎるレースから
漏れた桶川の言葉が
なんだかあたしの心をもっと
黒くさせた。


なにがいい子なの

あたしのこと
なにもわかってないくせに。


コトコトと音を立てて
カップにお湯を注ぐ。

コーヒーのいい香りが
あたしの体に
染み付いてくるような、

そんな感覚……。


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