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あたしは被害者

第8章 5人目のターゲット


達也と登校する時間と
違うからか、

いつも集まってくる
女子や男子がいない。




朝のうるさい下駄箱で
上履きに履き替える。


十字の廊下を真っ直ぐ歩いて
階段を上って

すぐに教室が見える。


「正也くんて
なに部だっけ?」


「あ、部活入ってないんです。
体弱くて……。
男なのに情けないよね」


またうつむいた。

なんだこれ、
癖なの?


「そんなことないよー?

あたしも体弱くて……

喘息もってるんだよね、
あとよく過呼吸になっちゃうから
長い時間の運動はできないの。」


「あ、僕も……

僕も喘息……」


うつむきながら
微笑んだ。




こんな純粋な子を

あたしは加害者にしようとしてる。



辛い


かも。



でも


みんなに知ってほしい。





あたしがここにいるってこと



あたしが弱い人間だってこと



あたしが助けを求めているってこと


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