あたしは被害者
第8章 5人目のターゲット
「こんだけじゃだめ!」
お弁当を開けて
オカズのハンバーグと卵焼き
マカロニサラダを
お弁当箱の蓋に乗せた。
「育ち盛りの男の子
なんだから、
しっかり食べなきゃだめでしょっ
ほら、トイレじゃないなら
座って?たべよっ!」
少し驚いて
困ったように笑いながら
座る彼は
どこか嬉しそうで
「いただきます……」
手を合わせて言うと
袋を破いて出てきたおにぎりを
一口食べてから
あたしが作ったハンバーグに
手を伸ばす。
「……うん、美味しい
すごく……美味しい……」
その笑顔はあたしの
目を細め
口角を上げただけの
ものとは比べ物にならない
くらい
美しくて
不覚にも
心臓の音がハッキリ聞こえた。