あたしは被害者
第9章 どっちもぶっ壊す
しほりはエリとのことが
あってから
ずっとあたしにベッタリだった。
エリはエリで
あたしとしほりに
近づかなくなり、
人格が変わったかの様に
誰とも話さなくなった。
しほりが
エリのことを
学年中に言い広めたからだ。
しほりもなかなか性格悪い。
『ピー』
ホイッスルの音で
試合は始まる。
一つのボールを求めて
みんなが
群がり、争う。
それぞれの役割について
仲間と勝利を目指す……。
くだらない。
たかがボール一つを
めぐって
体力を大量に消耗しなければならない。
体と体をぶつけ合い
捻挫、打撲、骨折まで
数えきれないほどの
怪我の可能性。
勝利したからって
なにがかわるの?
サッカー選手になれるなんて
いつまで夢を見ているの?
仲間との絆?
勝利の達成感?
そんなもの自己満足にしか
過ぎないじゃない。
周りの歓声とは裏腹に
あたしの心は
冷めていくだけ。