あたしは被害者
第9章 どっちもぶっ壊す
「やばい、やばいっ!
達也ゴール決めた!」
しほりがブレザーの制服を
ぐいぐいと引っ張り、
真っ先にあたしへ視線を
向ける達也を
指差していた。
大きく頭上で手を降って
「がんばってぇ!」。
聞こえるか聞こえないかは
わからない。
周りの人はあたしをチラッと見て
またグランドへ視線を戻した。
『あぁ、
あの人、彼女なんだ』
きっとみんなそう
思ってる。
あたしはなかなか外れない
男子の視線を
快感へと変えながら
ポケットの携帯を取り出した。
『そんなに困ってるなら、
俺でよかったら相談乗るよ?
会えるかな?』
達也のボールが
再びネットを叩いた瞬間、
桶川からのメールが届いた。