さきゅばす
第3章 夜のクラブ
私は暗くなり始めた学校に来た
まだちらほら部活帰りの生徒がいる
ハルと二人で話す機会がなかったから、ハルがきたら断ろうと思っている
正門に一台のバイクが近づいてきた
深い赤色のスタイリッシュなバイクだ
ヘルメットをとると少し暗い表情をしたハルがいた
こんなハルを見たことない
不安を目の奥に隠して、口だけ作り笑いしている
私は近づいて、ハルの肩に手をおいた
「……どこに連れて行くの。私を楽しませてくれるんでしょ?」
ハルは急にパッと明るくなり、私にヘルメットを渡した
元気になったハルに後ろから抱きつくと、エンジン音が校舎に轟く
「また、やっちゃった……」
ハルの前では別人になってしまう自分を責めた