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さきゅばす

第3章 夜のクラブ

ナツさんはワインで口を濡らして、フォーク片手に解説を始める

「今から始まるのは、テクノポップっていうジャンルのパフォーマンスライブで…」

「…え? ハルはクラシックじゃないの?」

「こら、人が話している時に喋らない」

「すいません…」

「それで、ただ単にライブやってるわけじゃなくて、まぁひらたく言うと、国際コンクールみたいなものかな」

「国際コンクール…なんか凄そうですね」

「今日は2ステージ目。前回はシンガポール。日本の次はニューヨーク」

「すごい…。ハルは大丈夫なんですか? 」

「まぁまぁ。5人中3位だけど、シンガポールでは本人がやる気なかったからね。…けど、今日はちょっと期待できるかも」

ナツさんは私を見て不敵な笑みを浮かべた


ライブが始まった

ハルの出番はまだ先らしい

舞台の中央に幾つもの電子機器が、パフォーマーを囲んでいる

その上の巨大なスクリーンに映像が映し出され、音楽も複雑に変化する

ナツさんいわく、音楽に合わせて照明や映像の切り替えもやっているらしい

映像と音楽が絡み合って、衝撃と心地よさを与えてくれる

本当に今そこで演奏されているのか疑いたくなるほどの完成された音楽だ

あっという間に一人目の演奏が終わった

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