さきゅばす
第4章 平凡な毎日!?
私は母の車が車庫に入る音を聞いて、玄関に飛び出す
仁王立ちする姿に母は戸惑う
「桜!? こんな夜中に何をしてるの?」
「……ちょっと、話したいことがあるんだけど」
「な…なに!?」
「ゴールデンウイークの間だけ、海外に行かせて」
不意打ちをしたつもりだけど、母は玄関で腕を組んで交戦の構えをみせる
「ちょっとリビングで、話を聞きましょう」
「……はい」
シンガーソングライターのナツさんは、ゴールデンウイーク中にシャンハイでミニライブを開く
シャンハイといえば中国
同行するためにはパスポートがいる
私はテーブルに肘をつき、試合開始前のボクサーのように、ぐるりと首を回してバキバキと骨を鳴らす
母はバッグを置いて肩を回しながら席についた