さきゅばす
第4章 平凡な毎日!?
買い物を終えて軽トラはホテルを目指す
「もう二度と、あんな買い物はしたくないわー」
運転席のアキは額の汗を拭いながら笑う
「女は買い物が好きだと聞くが」
その笑顔につられて、私も笑う
「……いい笑顔だ」
「えっ」
ちょっとドキッとする
けれど、もう2人の会話はそこで終わる
これ以上話してしまうと、もしかしたら恋をしてしまうかもしれない
さっきまであんなに嫌だったのに、どうして心変わりしてしまったんだろう
お互い心を整理するために、ただ沈黙する
ホテルの裏口にまわって、軽トラが停まる
「早くナツのところに行ってやれ。ナツはライブ前にいつも、死ぬほど不安になる」
「分かりました」
車を降りると、軽トラはエンジンをふかす
「あ、待って!」
軽トラは10メートルほど進んで急停止する
私は運転席に駆け寄って、窓から顔をいれる
「ご褒美」
アキのほっぺたに軽いキスをした
アキは目も合わさず、軽トラをゆっくりと前進させる
そして1回エンストしてから、異常音と共に去って行った
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