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「士」

──来た。
今日も面倒な奴が一人。
コソ泥な上に卑怯で、いつも俺の邪魔ばかりしてくるアイツが。

「何だ海東。勝手に入って来るな、迷惑だ」

──今日も僕の愛しい彼が目の前に。
俺様でいい加減で、僕を邪魔者扱いしてくる彼が。

「冷たいね士。せっかくこの僕が会いに来たっていうのに」

──別に来てほしいといった覚えはないし、会いに来られても迷惑なだけ。
そのはずなのに、アイツはいつも見透かした様な目で俺を見て、奇妙なオーラを出し俺の心に入り込んでくる。
俺はそんなアイツが嫌いで嫌いで仕方ないはずなのに、何故かアイツは俺にそんな気をさせない。
…いや、俺が自分で勝手に制御してるだけなのかもしれないが。

「来てほしいだなんて頼んだ覚えはない」

──君はいつもそうやって僕を冷たく振り払って逃げる。
でも、僕が毎回そんなことで諦めると思ったら大間違いだよ、士。