仮面な人たちの恋愛夢小説
第2章 仕事と愛と君と、(W)
『何だか皆さんの気分悪くしちゃったみたいですね‥』
「いや‥、彼等は彼等で気持ちを整理するはずだ、君が心配することはないだろう…。」
『そう‥ですか…』
「‥君はどうなんだ」
『私…ですか??』
「自分のことを知ってほしいなどと言うような言い方をしていたが、実際の君の気持ちはどうだ?辛くはないのか」
『辛い…辛いって何ですかね!そんな言葉、久しぶりに聞きました』
「…??」
照井なりの気遣いで彼女を何とかしようとするが、彼女はその気持ちの上をいくかのようにへらへらっと笑って見せる。
『私、辛いとか、悲しいとか、分からないんですよね。どっかに置いて来ちゃったみたいで‥』
そう話す彼女の瞳には僅かながらに涙を溜めていた。
照井は一瞬眉間に皺を寄せて彼女の顔を覗き込み、彼女は目頭を抑え涙を堪えた…。
『あっ、私刃野刑事に呼ばれてるんだった…ちょっと行ってきます!』
「あ、あぁ…。」
勢い良く飛び出して行った彼女は、刃野刑事所‥ではなく、外へと向かった。
そう、刃野刑事に呼ばれていたと言うのは嘘だった。
照井はすぐにその事に感ずくも、敢えて追い掛けることはしなかった…。
飛び出して行った彼女が向かった先、それは…──