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仮面な人たちの恋愛夢小説

第17章 旅と、彼と、(D)

そんな彼女に対して彼はただチラッと一瞬見てそうか、と一言。それ以上は何も言わない。
恐らく彼は彼女がどんな想いでそう言っているのかを分かっているのだと思う。

「さて、そろそろ行くか」

ソファーに座っていた彼女が彼の動きを止めた。
彼女は相変わらず自分というものについて考えていた。
彼女は自分のことが良く分からない。だからいつか知るであろう自分のことを考えている。
本当はどんな人間なのか。私とは何者なのか。本来、それを教えてくれるはずの人が彼女にはいないために悩んでいた。

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