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仮面な人たちの恋愛夢小説

第19章 happiness to god(K)

その時はただイクサを、名護を助けたいという一身で動いていたために感じなかった痛みが、今になって彼女を襲った。

不意に、雨が降りだした。雨水が彼女の掌を濡らし痛みを増幅させる。

「帰ります」

名護に腕を捕まれた彼女は黙ってついて行った──とその途中、名護は自宅を発見し半ば強引に彼女を招き入れる。幸いにもあまり濡れずに済んだ二人。名護は部屋へ入るなり黙って彼女の掌の手当てを始めた。

『すいません…』

「このくらい。助けてもらったお礼の代わりです」

名護は彼女の掌を綺麗に包帯で巻くと、少し雨で濡れた上着を脱いだ。

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