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仮面な人たちの恋愛夢小説

第20章 赤い殺戮・赤い記憶(鎧)

彼女には人を殺めてしまった記憶がある。自分がやってしまったのか、それとも自分の身を守ろうとして起こった事故なのか。
血を流し、目の前で倒れいるのは自分の兄。彼女の掌は赤く染まり、息は乱れ、静寂した赤い家という名の箱の中にいた。
そのときの真実を知るのは、彼女の近くで怪しく赤で色づいた銀色の刃だけだった。

それ以来、赤いものは彼女を狂わせた。赤いものが彼女の殺戮を呼び起こすのだ。そして日常で、ありとあらゆる赤を排除していった。
そうやって赤いものから目を背けているうちに、彼女の周りから赤いものが姿を消した──

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