仮面な人たちの恋愛夢小説
第4章 心とココロ(剣)
『ごめんなさい。兄のを使わせてしまうような形になってしまって…』
「いいんだ。こうして居させてもらうだけでありがたいよ」
良かった、と安堵の笑みを浮かべる凛。
すると新しい包帯を手に始の怪我を見る。
『え…』
包帯を外し、ガーゼを取った始の腕から滲み出るのは緑の液体。
凛がそれを血液だと理解するのにそう間はいらなかった。
凛はそれに触れることはせず、また清潔なガーゼで覆い包帯を巻き直す。
「‥ありがとう」
『いえ…』
「…一つ聞いてもいいかな?」
『あ、はい…?』
ふと顔を見上げた凛は真剣な顔の始を見つめる。
始は少し躊躇うが、思ったままに事を聞き出す。
「お兄さんはどうしたの…?」
『‥‥兄は、アンデットに殺されたんです。両親は事故だって言ってるけど、私はそうは思えなくて…』
「何故…?」
『アンデットは突然兄を襲ってきました。幼い私でも分かった‥バイクに乗る兄を襲って引き裂いた!兄は何も出来なかった…そうしているうち、兄は亡くなった‥』
何処かへ遠くを見つめて話す凛。
始はいつかの自分のココロに、凛の幼い頃の残酷で悲惨な傷痕を重ねていた。
始は凛の背中が幼い子供の後ろ姿に見えた。
不意に始の腕が伸びて凛の頭を撫でる。
小さくすすり泣く凛に、始は何も言わなかった。
凛には今の始は始であって始ではない。
彼女は亡き兄と始を重ねていた。
口数が少なく、でも悩んでいるときや辛いとき一番に助けてくれた兄。
凛は久しぶりの感覚に暫く始に寄り添っていた。
その内に眠気が出てきた凛を始がベッドに寝かせる。
「いいんだ。こうして居させてもらうだけでありがたいよ」
良かった、と安堵の笑みを浮かべる凛。
すると新しい包帯を手に始の怪我を見る。
『え…』
包帯を外し、ガーゼを取った始の腕から滲み出るのは緑の液体。
凛がそれを血液だと理解するのにそう間はいらなかった。
凛はそれに触れることはせず、また清潔なガーゼで覆い包帯を巻き直す。
「‥ありがとう」
『いえ…』
「…一つ聞いてもいいかな?」
『あ、はい…?』
ふと顔を見上げた凛は真剣な顔の始を見つめる。
始は少し躊躇うが、思ったままに事を聞き出す。
「お兄さんはどうしたの…?」
『‥‥兄は、アンデットに殺されたんです。両親は事故だって言ってるけど、私はそうは思えなくて…』
「何故…?」
『アンデットは突然兄を襲ってきました。幼い私でも分かった‥バイクに乗る兄を襲って引き裂いた!兄は何も出来なかった…そうしているうち、兄は亡くなった‥』
何処かへ遠くを見つめて話す凛。
始はいつかの自分のココロに、凛の幼い頃の残酷で悲惨な傷痕を重ねていた。
始は凛の背中が幼い子供の後ろ姿に見えた。
不意に始の腕が伸びて凛の頭を撫でる。
小さくすすり泣く凛に、始は何も言わなかった。
凛には今の始は始であって始ではない。
彼女は亡き兄と始を重ねていた。
口数が少なく、でも悩んでいるときや辛いとき一番に助けてくれた兄。
凛は久しぶりの感覚に暫く始に寄り添っていた。
その内に眠気が出てきた凛を始がベッドに寝かせる。