テキストサイズ

仮面な人たちの恋愛夢小説

第50章 甘宿り(F)

『げん‥たろ‥っ』


フリーズしてしまった彼奴に、俺は申し訳ないと頭を下げる。
わざとではないことは理解してもらうと、彼奴は顔を真っ赤にさせて俯いていた。


その表情にドクンと波打つ衝動が、俺を動かした。


「…もう一回、ちゃんとしたい」


『何言って…っ』


思わず口にした言葉に自分でも混乱したが、やがて彼奴の表情も変わって言った。


『‥‥いいよ』


見詰めてくる彼奴の瞳は綺麗で、俺は思わず息を呑む。


「いい、のか…?」


『いいよ、弦太朗なら。‥‥私、弦太朗が好き』


「…俺も、好きだ」


まさかの両思い。
ギュッと抱き締める彼奴の体温が心地好く、俺はそのまま口づけた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ