仮面な人たちの恋愛夢小説
第7章 約束のドラゴン(W)
二階へと桃魅を入れた晴人が突然桃魅を抱き締めた。
彼女は驚きのあまり硬直してしまう。
『おい…っ』
「ごめん。ちょっとだけ‥」
『‥どうかしたのか?』
いや、とだけ言ってそれ以上何も言わない晴人。
彼女は不思議がって晴人と向き合い顔を見つめた。
晴人は儚いものをみるような瞳で、綺麗な顔をしていた。
『おい』
「‥‥妬いた」
『や、‥い、‥た‥?』
桃魅は初めて聞く言葉に首を傾げた。
晴人はフードで見え隠れする彼女の右目を見つめていた。
「お前ってさ、白い魔法使いの前だと別人だよな」
『あの方の前では頭が上がらない。そう見られても仕方ないだろうな‥』
「いや、そうじゃなくてさ」
『何だ』
「彼奴には笑うのに、俺には笑ってくれないな‥て」
『笑う?私が?』
首を傾げる彼女。
そして、晴人の目に浮かぶ訳のない涙──
何も答えない晴人だが、瞳はしっかりと彼女に訴えていた。
『泣くな。泣かれると笑えないだろう…人は、誰かの笑顔を見ると自然と笑えると、あの方から聞いた』
不意に、涙を拭った晴人が桃魅に精一杯の笑顔を見せた。
『それでいい。泣いている時より、笑顔のお前の方が私は好きだ』
「好きとかいうな。勘違いするだろ」
『勘違いしていろ。ずっとな‥』
微笑む桃魅。
晴人は彼女の右の頬に触れて、魔方陣が象られた琥珀色の目元に触れる。
「そうしとくかな‥」
二人の背にはドラゴンとシルバードラゴンが舞い、二人を見守るように輝いていた──。
約束のドラゴン END
彼女は驚きのあまり硬直してしまう。
『おい…っ』
「ごめん。ちょっとだけ‥」
『‥どうかしたのか?』
いや、とだけ言ってそれ以上何も言わない晴人。
彼女は不思議がって晴人と向き合い顔を見つめた。
晴人は儚いものをみるような瞳で、綺麗な顔をしていた。
『おい』
「‥‥妬いた」
『や、‥い、‥た‥?』
桃魅は初めて聞く言葉に首を傾げた。
晴人はフードで見え隠れする彼女の右目を見つめていた。
「お前ってさ、白い魔法使いの前だと別人だよな」
『あの方の前では頭が上がらない。そう見られても仕方ないだろうな‥』
「いや、そうじゃなくてさ」
『何だ』
「彼奴には笑うのに、俺には笑ってくれないな‥て」
『笑う?私が?』
首を傾げる彼女。
そして、晴人の目に浮かぶ訳のない涙──
何も答えない晴人だが、瞳はしっかりと彼女に訴えていた。
『泣くな。泣かれると笑えないだろう…人は、誰かの笑顔を見ると自然と笑えると、あの方から聞いた』
不意に、涙を拭った晴人が桃魅に精一杯の笑顔を見せた。
『それでいい。泣いている時より、笑顔のお前の方が私は好きだ』
「好きとかいうな。勘違いするだろ」
『勘違いしていろ。ずっとな‥』
微笑む桃魅。
晴人は彼女の右の頬に触れて、魔方陣が象られた琥珀色の目元に触れる。
「そうしとくかな‥」
二人の背にはドラゴンとシルバードラゴンが舞い、二人を見守るように輝いていた──。
約束のドラゴン END