仮面な人たちの恋愛夢小説
第8章 愛想兄妹(K)
とある病院。
一人の少女が車椅子に乗り、看護師に車椅子を押されていた。
普通に見れば脚が不自由なだけに見えるが、彼女が抱えるものはされだけではなかった。
彼女の兄が失踪してから二年。
元々目が不自由だった彼女だったが、突然の不運な事故で両目の光を失った。
それから塞ぎ込みがちになった彼女は、開いていた見えない目を閉じるようになった…──。
『看護師さん、今日の天気当ててあげる…晴れのち雨』
『雨?こんなに天気いいのに』
『うん。雨。それから…私の知らない何かに出逢う予感』
『そう…影山さんがいうなら当たるわねきっと』
彼女は視力を失った代わりに、不思議な能力を授かったらしい。
それは心の目。
両足両目と失った物の大きさが、天から不思議な能力を受け継ぐきっかけになったのだろうか。
目が見えない分、耳が発達し、脚が使えない分、心の目で人を見るようになった。
そんな彼女は今、病院の外で看護師と話をしている。
『ねぇ…どうしてお兄ちゃんの予感は何もしないの?』
黙り込む看護師。
暫くの沈黙の後、看護師はちょっと用があるからと少しその場を離れた。
その直後、ポツポツと雨が降りだした。
彼女は慌てて病院の屋根のある場所まで行こうとするが動けずにいた。
すると突然、車椅子を押されている感覚になったので彼女は驚く。
彼女はすぐに気づいた。
車椅子を押している人物が病院の人間でないことに──。
屋根まで移動したのか止まった車椅子。
すると次に男の声が聞こえた。
「目、見えてないんだろう…?」
『どうしてそれを‥?』
「瞳を閉じていても分かる。お前が闇を抱えていることを…」
彼女の胸元に光るネックレスは、男が良く知るものだった。
それを見て男は彼女が誰であるか分かったのだ。
『もしかして貴方、お兄ちゃんが言っていた兄貴さん…?』
男が彼女の目の前にしゃがみこみ同じ目線になると彼女の手を握った。
男の手は、冷たかった。
『そうなのね』
「ああ」
『冷たい‥』
「お前はアイツににて暖かい手をしているな…」
彼女の男の手を握る力が強くなると、男もそれに答えるかのように握った。
『私、影山桃深。貴方は?』
「‥‥矢車想だ。お前を…ずっと探していた‥」
男はずっと彼女を探していたという。
彼女は、これが自分の予感した出逢いだと気付かされた。
一人の少女が車椅子に乗り、看護師に車椅子を押されていた。
普通に見れば脚が不自由なだけに見えるが、彼女が抱えるものはされだけではなかった。
彼女の兄が失踪してから二年。
元々目が不自由だった彼女だったが、突然の不運な事故で両目の光を失った。
それから塞ぎ込みがちになった彼女は、開いていた見えない目を閉じるようになった…──。
『看護師さん、今日の天気当ててあげる…晴れのち雨』
『雨?こんなに天気いいのに』
『うん。雨。それから…私の知らない何かに出逢う予感』
『そう…影山さんがいうなら当たるわねきっと』
彼女は視力を失った代わりに、不思議な能力を授かったらしい。
それは心の目。
両足両目と失った物の大きさが、天から不思議な能力を受け継ぐきっかけになったのだろうか。
目が見えない分、耳が発達し、脚が使えない分、心の目で人を見るようになった。
そんな彼女は今、病院の外で看護師と話をしている。
『ねぇ…どうしてお兄ちゃんの予感は何もしないの?』
黙り込む看護師。
暫くの沈黙の後、看護師はちょっと用があるからと少しその場を離れた。
その直後、ポツポツと雨が降りだした。
彼女は慌てて病院の屋根のある場所まで行こうとするが動けずにいた。
すると突然、車椅子を押されている感覚になったので彼女は驚く。
彼女はすぐに気づいた。
車椅子を押している人物が病院の人間でないことに──。
屋根まで移動したのか止まった車椅子。
すると次に男の声が聞こえた。
「目、見えてないんだろう…?」
『どうしてそれを‥?』
「瞳を閉じていても分かる。お前が闇を抱えていることを…」
彼女の胸元に光るネックレスは、男が良く知るものだった。
それを見て男は彼女が誰であるか分かったのだ。
『もしかして貴方、お兄ちゃんが言っていた兄貴さん…?』
男が彼女の目の前にしゃがみこみ同じ目線になると彼女の手を握った。
男の手は、冷たかった。
『そうなのね』
「ああ」
『冷たい‥』
「お前はアイツににて暖かい手をしているな…」
彼女の男の手を握る力が強くなると、男もそれに答えるかのように握った。
『私、影山桃深。貴方は?』
「‥‥矢車想だ。お前を…ずっと探していた‥」
男はずっと彼女を探していたという。
彼女は、これが自分の予感した出逢いだと気付かされた。