仮面な人たちの恋愛夢小説
第8章 愛想兄妹(K)
それから矢車は彼女を病室へと運んでくれた。
彼女は矢車という男に対し特に警戒心を抱くことなく彼を受け入れていた。
『ねぇ、お兄ちゃんを知らない?ずっと会えてないの…』
「知らないのか?」
『え…?』
「アイツは…もう…いない…」
不意に、ずっと閉じたままだった光を失った瞳を開く彼女。
矢車はそれに少し驚いたように彼女の目の前に立った。
『いない…つまり、そういうことなのですか?』
「あぁ‥」
低く小さく呟くようにいう矢車に彼女は小さくそう、といってまた瞳を閉じた。
「悲しくはないのか…?」
『悲しくないと言ったら嘘になります‥でも予感はしてました。このネックレスが速達で贈られてきてからずっと…』
「予感が分かるのか…?」
『この身体になってから私の予感が外れたことは有りません。現に今日も予感が当たりましたから』
「相棒のことか」
『それだけではありません。貴方に出逢えたことも…』
不意に、目の前に矢車を感じてか彼女が手を伸ばした。
矢車はその暖かい手にそっと触れた。
『冷たいけど、憎めない人‥』
カーテンの隙間から漏れた光が彼女の顔を、瞳を照らして、頬に伝う涙を写し出した。
彼女を見て矢車がその涙を静かに拭った。
「お前は俺が守ってやる‥相棒が守れなかった代わりにな…」
優しく引き寄せたと思えば彼女を抱き締める矢車。
彼女は久しぶりの人肌の感触に、懐かしい兄の温もりを感じた。
彼女は矢車という男に対し特に警戒心を抱くことなく彼を受け入れていた。
『ねぇ、お兄ちゃんを知らない?ずっと会えてないの…』
「知らないのか?」
『え…?』
「アイツは…もう…いない…」
不意に、ずっと閉じたままだった光を失った瞳を開く彼女。
矢車はそれに少し驚いたように彼女の目の前に立った。
『いない…つまり、そういうことなのですか?』
「あぁ‥」
低く小さく呟くようにいう矢車に彼女は小さくそう、といってまた瞳を閉じた。
「悲しくはないのか…?」
『悲しくないと言ったら嘘になります‥でも予感はしてました。このネックレスが速達で贈られてきてからずっと…』
「予感が分かるのか…?」
『この身体になってから私の予感が外れたことは有りません。現に今日も予感が当たりましたから』
「相棒のことか」
『それだけではありません。貴方に出逢えたことも…』
不意に、目の前に矢車を感じてか彼女が手を伸ばした。
矢車はその暖かい手にそっと触れた。
『冷たいけど、憎めない人‥』
カーテンの隙間から漏れた光が彼女の顔を、瞳を照らして、頬に伝う涙を写し出した。
彼女を見て矢車がその涙を静かに拭った。
「お前は俺が守ってやる‥相棒が守れなかった代わりにな…」
優しく引き寄せたと思えば彼女を抱き締める矢車。
彼女は久しぶりの人肌の感触に、懐かしい兄の温もりを感じた。