仮面な人たちの恋愛夢小説
第9章 愛が強さに?蜂蜜と指輪の思い出(鎧)
──乙咲瀬奈(オトサキセナ)。
ユグドラシル・コーポレーション、呉島貴虎(クレシマタカトラ)の秘書及び呉島光実(ミツザネ)の世話係りを担っている。
主な仕事は兄・貴虎のスケジュールの組み替えと弟・光実の世話。
普段は兄の貴虎についていることが多く、光実のことはほとんどやらずに済んでいるという始末。
そんな彼女には一つ大きな秘密がある。
それは、とにかく極度の“男性恐怖症”であるということだった。
──駆紋戒斗との一件があった日の夕方、彼女は兄の呉島貴虎に呼び出され別室にいた。
『お呼びでしょうか』
「呼び出された理由は分かるか?」
『いえ、存じ上げません‥』
「今日の昼間あったインベスゲームにお前の姿が見受けられた。昼間は光実の学校に行っていたと聞いたが、あれは嘘だな?」
『…はい』
「何故嘘をついてもすぐにバレると分かっていたはずだろう」
彼女は答えない。ただ、黙って真っ直ぐに貴虎を見ていた。
「そんなに私を怒らせたいか?」
『っ…触らないで!』
そっと肩を抱くように詰め寄った貴虎を彼女は振り払って部屋を出た。
悲しげな貴虎の瞳に、もう一つの感情が宿った──。
ユグドラシル・コーポレーション、呉島貴虎(クレシマタカトラ)の秘書及び呉島光実(ミツザネ)の世話係りを担っている。
主な仕事は兄・貴虎のスケジュールの組み替えと弟・光実の世話。
普段は兄の貴虎についていることが多く、光実のことはほとんどやらずに済んでいるという始末。
そんな彼女には一つ大きな秘密がある。
それは、とにかく極度の“男性恐怖症”であるということだった。
──駆紋戒斗との一件があった日の夕方、彼女は兄の呉島貴虎に呼び出され別室にいた。
『お呼びでしょうか』
「呼び出された理由は分かるか?」
『いえ、存じ上げません‥』
「今日の昼間あったインベスゲームにお前の姿が見受けられた。昼間は光実の学校に行っていたと聞いたが、あれは嘘だな?」
『…はい』
「何故嘘をついてもすぐにバレると分かっていたはずだろう」
彼女は答えない。ただ、黙って真っ直ぐに貴虎を見ていた。
「そんなに私を怒らせたいか?」
『っ…触らないで!』
そっと肩を抱くように詰め寄った貴虎を彼女は振り払って部屋を出た。
悲しげな貴虎の瞳に、もう一つの感情が宿った──。