声を届けたい
第9章 距離
夜まで雨は降り続いた…
『…まだ…雨振ってる…
そっちは?雨なの?』
【あ〜こっちは振ってないと思うよ…
音…しないし…】
『ふ〜ん…やっぱり…
距離を感じるね……
…同じ空なのに…』
【明日はこっちが雨だよ…同じ…空だからね…】
『…同じ…空…か…』
【…瞳は雨が嫌い?】
『…嫌い…かな…
今日だって予定狂ったし…
曇り空は憂鬱になるし…
守は好きなの?】
【好き…かな…
前は、気にしなかったけど…雨の音とか…】
言われて…
外の雨の音に耳を傾けてみる…
『今日の雨は…激しいから…落ち着かないよ…』
【…瞳…雨の音聞いたの?君は相変わらず…素直だね…】
『…何よ…それ…』
雨は夜中も降り続いた……
この雨は明日…
守の住む空になる…
そう思うと…
雨も嫌じゃなくなる…