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夜会で踊りましょ!!

第1章 橘様の浴衣

歩睦視線

(翼女ちゃん大丈夫かな?)
 少し離れた場所から、遥香と翼女を見る。

 遥香の話では、翼女ちゃんは、男性恐怖症。
原因は夜の公園で襲われたらしい…
(詳しい事は分からない、聞けない…)

 最近やっと、僕と普通に話が出来るようになった。

 遥香は『安全な男で免疫をつける』って言ってたけど、翼女ちゃんは大丈夫なんだろうか。いつも心配になる。

「あ、柾季!」
 歩睦が柾季を駐車場から続く通路で見つける。

「歩睦も呼ばれたのかよ!」
 走ってくる柾季は少し不満げだった。

「なんだよ、お前も遥香に呼び出されたんだろ!」

「そうだけど、オレ様は翼女ちゃんのリクエストだ」
 胸を張る柾季。

「ああ、そうですか!ま、今日は付き合ってくれて、ありがとう」
 お礼を言う歩睦。

「歩睦にお礼言われると、悪い気しないな。よし、今日からオレとお前は義兄弟だ宜しくな」
 両肩を掴んで豪快に笑う柾季。

「ぎ、義兄弟?」
 歩睦は硬直している。


「柾季!遅い!」
 遥香の声が聞える。

 声の方を見ると、遥香と遥香の背中に隠れている翼女が見えた。

「あ、これでも、頑張ったぞ!」
 柾季は歩睦の肩を離すと、遥香のほうに歩いていく。

「ふぁぁ」
 翼女が変な声をこぼして、背中にしがみつく。

「よしよし…じゃ、浴衣のモデル宜しく」
 遥香が柾季の腹にグーを突きつける。

「ぐへぇ!だべた物が出る」
 苦しそうによろめく柾季。

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