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夜会で踊りましょ!!

第16章 浴衣を着るまで…

 数日前のお店での事


 カランコロン

「いらっしゃいませ」
 翼女が社交的反応をする。

「ちわぁ♡」
 にっこっと笑う佐藤

「こんばんは、佐藤さん」
 翼女が佐藤の前に水を運ぶ。

「ありがとう!」
 チュッと投げキスをする。

 その光景を怪訝そうな顔の慎太郎

「慎太郎ぉ、美味しいコーヒーいれてぇ」
 ご機嫌取りをする佐藤。

「…少しまってろ…」
 慎太郎がミルの中に豆を入れ、挽きはじめる。


 翼女はクスクス笑いながらカンターの奥に引っ込む。

「あ、まって今日は翼女ちゃんに用事なんだ」
 ウインクして呼び止める。

「私にですか?」

「うん、いろいろもらってきたから…」
 佐藤はカバンの中から美容院のチラシや髪形の本。


「これって?」
 数枚のチラシを見ながら首をかしげる。

「夜会の時の美容院だよ。まだ予約していないでしょ?」


「あぁ…夜会の…でも浴衣ぐらい自分で着れるから、家で…」
 チラシをそっと戻す。

「やっぱり、そういうと思った!まったく、慎太郎…お父さんがこういうこと疎いから、翼女ちゃんもだろうと思って、いろいろ調べてきたよ」
 チラシの上にノートパソコンも出して画面を操作する。

「でも、わたし…」
 翼女が困ったようにオロオロし始める。


「こことかどうかな?ほらこの髪形とか翼女ちゃんに似合いそう♪その日はお休み取って僕が車出すから!場所とかは気にしなくていいよ」
 佐藤はそんなの事関係なくドンドンページを進める。


「そ、そんな大丈夫ですよ…気持ちだけでいいですよ」
 やんわり断りをする翼女。

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