テキストサイズ

夜会で踊りましょ!!

第2章 翼女のヒミツ

 いつの間にか、男の子と話せなくなった。

 その頃から、私は男性恐怖症と言われ出した。

「別にいいけど…」
 心ない友人たちが広めた噂を否定も肯定もしなかったのだから、しかたがない。


 でも、この噂のおかげで、遥香ちゃんと友達になった。遥香ちゃんの側にいると、男の子達の妄想が抑えられる。

 きっと、歩睦君と楓先輩の掛け合いを生で見られたからだ。

 歩睦君に対して、いつもやさしい楓先輩の行動が男性のイメージを変えていった。



「いい!」
 翼女は柾季の浴衣姿の絵を高々にかかげる。

「柾季君は、私の攻めキャラのイメージ!これ鉄板!」
 自分が描いた絵をギュっと抱きしめる。


 しばらく、脳内妄想を楽しんだ後、再び机に座る。


「楓先輩の攻めっ…柾季君と歩睦君の取り合い…」
 最近は、歩睦とも話しが出来るようになった。


「はー妄想って楽しい!」
 ニヤケル翼女。



 ふっと、机の上にある写真立てに目がとまる。


(こんな事、遥香には言えない…)

 遥香と二人でピースサインしている写真を見ながら、翼女は複雑な顔をしている。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ