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夜会で踊りましょ!!

第1章 橘様の浴衣

「もうすぐ〈橘様(タチバナサマ)〉だね」

「そうだね」

 ショッピングモールを歩く、女子中学生。
 もう直ぐ〈橘様の夜会〉がある。
 そのための浴衣を下見にきた。

「やっぱりピンク?」
 特設コーナーの完成品の浴衣を見ている、菜畑遥香(ナバタ ハルカ)

「うーん、やっぱりカワイイのがいいよね」
 もう一人は須々木 翼女(ススキ ツバメ)


『橘様の浴衣の夜会』とは、未婚(15・6歳)の男女が浴衣を着て、氏神神社で火を囲み踊る。集団お見合いようなの事である。
 氏神巫女の『橘姫』が『親同士が決めた婚姻よりも、お互いをまず自分の目で見ることが大切』と、始まったと言われている。

 近年は受験の兼ね合いで、中学2年生の男女が集まって踊る風習になっている。
 基本的に地元の中学生のみだが、飛び入り参加の中2も一緒に踊る。

「これ!かわいい!」
 遥香がセットになっている浴衣を鏡の前でポーズを取る。

「あーうん…」
 翼女は、少し離れた所でカタログを見る。

「………」
 遥香は持っていた浴衣を戻すと、無言で翼女の背後に立つ。

 翼女が見ているのは男性用の浴衣のカタログ。

(やっぱり…ハダケタ所とかは載ってないなぁ…)
 翼女は、モデルが着ている浴衣を舐めるように見ている。

「ねー?翼女ちゃん?」
 遥香が声をかける。

「ひゃ!」
 翼女は飛び上がって驚くと同時にカタログを落とす。

「何?…」
 遥香はカタログを拾う。

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