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夜会で踊りましょ!!

第3章 柾季の思い

「ただいま」
 柾季は家に帰ってきた。

「お帰りなさいませ!」
 ドスのきいた太い声の男が玄関で迎える。

「ああ。晩飯まで、部屋に居る」
 柾季は軽く手を上げて、階段を上っていく。

「かしこまりました!」



  バタンッ
 柾季は二階の自分の部屋に入るって扉を閉める。


(や、やってしまった…)
 フラフラと、ベッドまで歩く。
 持っていた鞄を適当に転がすと、そのまま座り込む。

(せっかくまともに話せるようになったのに…

紳士になろうと頑張ったのに…

ガンガン前に出ちゃった…)

 青ざめる翼女の顔を思い出す。

「あーー」
 頭を抱えて、後悔する柾季。

(怖かったろうな……翼女ちゃん…)
 柾季は心の中で反省会が始まった。

 柾季の家は明治時代から続く造園業の老舗『植木屋』の跡取り息子。
 どうしても、男所帯のせいで言葉がキツクなるし直ぐ、肩と背中を触ってします。

「ぁああ、遥香に殺される!」
 ベッドの上で、頭を抱えてもがく柾季。

 遥香と柾季は同い年の従姉弟。

 小さい時から、何をしても、遥香に勝てない柾季。逆上がりも自転車も遥香に習った…中学生になっても、この関係が続いている。

 ベッドの上であの日を走馬灯のように思い出す。

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