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夜会で踊りましょ!!

第4章 小学生の翼女(わたし)

「ひゃ!」
 翼女はビクッとした、そのせいで体勢を崩して座り込む。

「あ、肩打ってるの?」
 男の子は慌てて、手を離すと、ピピッと携帯がなり始めた。

(さ、触られた…)
 震える手で、肩を触る翼女。

「あ!『もしもし…』」
 男の子が電話に出て話し始めた。

(声…遥香ちゃんに似てるかも…)
 携帯で話している声を聞く。

「あ、うん。直ぐ行く」
 男の子がチラッとこっちを見たような気がする。

(あ!何、私…いつまで、見てるんだろう!恥ずかしい)
 自分がペタンと座り込んだまま、男の子を見ていることに気付く翼女。

(恥ずかしい。まるで、電話が終わるの待ってるみたい…か、帰らないと…お父さんも心配する…)
 翼女は、足元に落としたスケッチブックを膝をつけたまま拾う。


「あ、あの、ありがとうございました…」
 立ち上がると、お礼を言って逃げ出した。

「あ、ちょっと…気をつけてねー」
 男の子の声を背中で聞いて、その場から急いで離れる翼女。



 翼女…少し離れた所で、男の子を見つめる。
 男の子…駐車場に停まっている車にダッシュで駆け寄る。

 車の窓から、女の子の顔が見える。

(遥香ちゃんだ!)

 男の子、ペコペコ頭を下げながら、車に乗る。



「あーやっぱり…」
 翼女はスケッチブックを開いく。

「さっきの男の子がマサキ君なんだ」
 自分が描いた絵を見ながら、ニコッと笑顔になる。

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