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夜会で踊りましょ!!

第4章 小学生の翼女(わたし)

(きゃー。男の子が近づいて来る!!!!)
 翼女は、今すぐココから逃げたい。逃げたいのに、逃げれない。

「取ってあげる!」
 男の子は両手を伸ばして、翼女の前に立つ。

「あ!だ、大丈夫です…」
 翼女はアップで見る男の子の顔に慌てて、無理に髪を引っ張って取ろうとする。

「だから!そんなことしちゃダメだよ!」
 男の子が、強い口調で言う。

「すみません…」
 翼女は目をグッとつぶって、固まった。

(怒られた!叩かれる!)
 翼女は震えながら、ジッとしている。

「この木は『ザクロ』って言って、枝や葉にトゲがあるのだ。無理に引っ張ると、余計絡まるよ、もうちょっとだからね、ジッとして…」
 男の子は優しい口調で手際よく、髪をやさしくほどく。

(…この人、良い人だ…)
 そっと、見上げると、男の子は真剣に髪の毛をほどいていく。

 翼女は男の子の顔をよく見たいが、逆光で見えなくなっていく。
 その代わり、パーカーの下に着ているTシャツの下から見える、お腹…の腹筋が見える。

(すごい…割れてる…始めてみた…)
 父の店にある雑誌の男性でしか見た事がない、割れている腹筋に、ドキドキしている。


「よし!お疲れ様」
 男の子は両手を下ろして翼女の前から少し離れ笑顔で言う。

「あ、ありがとうございます」
 翼女は男の子を見上げて、お礼を言う。


 男の子は再び翼女の前に近づいてくる。
 逆光で顔がよく見えない。

「他にケガはない?」
 男の子が急に肩を掴む。

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