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夜会で踊りましょ!!

第10章 『橘姫の絵画展』

(な、なんか、話題は無いか…あー、テンパルはオレ!)
 脳内柾季は頭を抱えて暴れている。


「…あの…」
 翼女が話しかけてきた。

「は、はいぃ!」
 柾季は翼女の声に体をビクッとさせる。

「…ぁの…その…柾季君は、ここに一人で来たんですか?」
 オドオドしながら話す翼女。


(つ、翼女ちゃんが、オレに質問してくれた!ガッツク
な…オレ…自然に…)
「あー、今日は、RYOUGOに遥香と行ってて…」
 タドタドしい柾季。


「RYOUGO!RYOUGOに行ったんですか?」
 翼女が急に笑顔で柾季を見る。

(わ!めっちゃ笑顔!やっぱり、女の子に人気の店なんだ)
「う、うん…今度の夜会の浴衣を作りに…」

「あーRYOUGO…いいですね…」
 キラキラした瞳で遠くを見ている翼女。


「やっぱりRYOUGOっていい感じ?」

「はい!もちろんです、あの店…のクオリティはハンパじゃありません!」
 翼女が両手をグーにして言う。

(こんな、顔もするんだ)
「翼女ちゃんもRYOUGOで浴衣作る?」

「そ、そんな…私はあの店に入れません…」
 モジモジ下を向く翼女。

(確かに、男性スタッフ多かったもんな…)

「あ!そうだ…もうすぐここの四階で浴衣のショーがあるって、一緒にショー見ない?」
 目いっぱいの笑顔で声をかけてみる柾季。

(ちょっと、勝負…浴衣のシューなら一緒に行けるよな)


「わ、わたしもそのショー見るつもりだったので…一緒に行ってもいいです…」

(やった!遥香なしで、翼女ちゃんと同じ所いける…進展だよ!ガンバレ、おれ。ガッツクなオレ!)


「じゃ、場所変えようか…まだ、時間あるし…」
 荷物を持って立ち上がる柾季。

「は、はい」
 翼女も柾季について、立ち上がる。

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