テキストサイズ

夜会で踊りましょ!!

第1章 橘様の浴衣

     *

 フードコーナーでポテトを食べながら、話をしている遥香と翼女。

「来ましたよ!」
 歩睦がゆっくり近づいて来る。


「あ、きた?」
 遥香が歩睦の方を向く。

「急に呼ぶのは止めてよね、部活のみんなに誤解されるでしょ…」
 遥香の隣の椅子を引いて、離れて座る歩睦。

「誤解したい奴はさせといたら?」
 何が悪いの?みたいな顔の遥香。


「はー、僕じゃなくて、遥香を心配してるのに…」
 歩睦は小さくため息を付く。

「なんか言った?」
 遥香に聞えてなかったようだ。

「いいえ、なんでもありません。ごめんね翼女ちゃん、遥香っていっつも自分本位で!」
 歩睦はニコッと翼女に笑いかける。

「あ、そんな事ないよ、今回の事も私が「見たい」って言ったから…」
 持っていたジュースのストローを銜える。

「そうよ、今日は大事なミッションよ」
 グッと片手を上げる。

「はいはい…で、僕は何したらいいの?」

「柾季が来たら、二人に、橘様の浴衣を着てほしいの!」

「浴衣か…そろそろ作らないと間に合わない?」

「私、既製品でいいと思っている」

「既製品かぁ。僕もそれでいいかも…でも、母さんが作りたがるかな?」

 翼女はジュースを飲みながら、二人の会話を聞きながら、歩睦をジッと見つめている。

(優しい顔してるのに、肉付きいいんだよね…剣道って筋肉付くのかなぁ…首の筋とか、いい感じ…)

ストーリーメニュー

TOPTOPへ