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それで、また会ってる。

第1章 冷たい手



シャワーを使って彼の髪についた泡を洗い流した。
「すごい気持ちよかった。ありがとう」
無事にやり終えた。でも今も動揺している。
水が滴り落ちた夕都は妙に色っぽい。こうして見ると彼は黒髪の方が綺麗に見える。
「俊紀さん? どしたの」
「いや……」
何考えてんだ俺は。ほんの少しでも変な展開を想像した……。

「じ、じゃあ出るか」

夕都から眼をそらしてドアを開けようとしたけど、
「俊紀さん、俺のことどう思ってんの?」
「……?」
どうにでもとれる質問を投げかけられ、動きが止まった。

「俺が強引で、俊紀さんは優しい。それがいけないんだよね。嫌なら追い出せばいいのに、そうしないから。俊紀さんも俺に気があんのかなって……勘違いしちゃった」

振り返ると、夕都も気まずそうに眼をそらしていた。
顔を赤くして、静かにこちらの回答を待っている。
って……でも本当にそんな……俺のことが好きなのか?
「お前こそ、一回助けてもらったぐらいで簡単に人を好きになんのかよ。……性別も関係なしに?」
そう。考えの浅い奴ほどすぐに誰かを好きになる。
お前はどう答える?

出会って数日の、俺の全てを受けとめられるって言えるのかよ。
無意識に息を止めて答えを待つ。

「わかんないよ。でも……離れたくないんだ」

震えた声。夕都は泣きそうな瞳で呟いた。
「……っ」
気付けば夕都を床に押し倒していた。
当然お互い全裸で、やばいシチュエーションだ。だけど、もう止まれない。

「ん……っ!!」

強引に、夕都の唇を奪った。柔らかい唇の感触に溺れ、吸い付く。
そして無遠慮に舌を挿入し、口腔内を荒らした。
風呂場は小さな音でも大袈裟に響いて、今何をしているかを認識させられる。ある意味いい空間だった。
「……後悔しても、もう遅いからな。嫌がっても抱く」
「あっ!」
無防備な夕都の足の間に手を入れた。
彼は驚いて両足を閉じる。
「おい、開けって。これじゃ手、抜くこともできないだろ」
「で、でも……」
夕都は恥ずかしそうに呟く。足を開けばそれだけ、隠れた部分も見えてしまう。
「何もしないから」
夕都はその言葉を信じて、脚を開いた。
けどその瞬間に彼の腰を上げて、まだ硬い部分に触れる。
「やっ……騙したな!」
「まーな。でもお互いさまだろ? お前だって散々好き勝手したわけだし」






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