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君のため。

第36章 手。

駅でのいつもの別れの風景。

あなたは時々泣いてしまう。

私はあなたの手を握る。

じゃあね。

手を離し、私は改札をくぐる。

あなたはいつまでも見送ってくれる。

私は何回も振り返る。

切なかった。何度も切なくなった。

一緒の電車に乗れたらいいのに。
一緒にご飯食べにいけたらいいのに。
一緒の部屋に帰れたらいいのに。

毎回思っていた。

私も本当は泣きたかったんだよ。

あなたの手、ずっとずっと繋いでいたかったんだよ。

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