
薔薇はあいを囁く
第3章 薔薇の正体
僕は、僕の正体を全く知らない君の元へ、急ぎ足で行く。
「…立人さん。」
ベットからムクっと起き上がるあいの小さな体。
僕を見つめる君の瞳は、とても綺麗だった。
「お待たせ。じゃ、寝よっか?」
「…はい。」
キラキラした瞳で見つめるあいは、まだ穢れの知らない処女なんだ。
「可愛いね、あいは。」
「…んっはっ…。」
あいにたくさんキスをして、たくさんの優しい愛撫をして、僕の抱き癖を今から覚えさせる。
「愛してる。」
「好きだよ。」
「早く結婚したいな…。」
そう、その時まで処女は奪わないと決めた。
それが僕が決めた暗黙のルール。
だから。
それまで、存分に優しい男を演じててあげる。
今のうちに、僕に溺れるがいいよ。
あい。
僕はね、
本性は、最強のドSなんだ。
…だからさ。
結婚した夫の正体を明かすときまで。
君を絶望の淵に落とすときまで。
僕は、君に。
あいを囁き続けるんだ…。
