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お姉ちゃん、一緒にアソボ?

第2章 play 1

「ま、人は見た目に寄らないって事でしょ?」

「…うん。
そー…だね…」

「はいっ!しんみり終わり!」

少し暗くなりかけた空気を凜は
パンッと手を叩いて変える。

そして、

キンコーンカーンコーン─…

タイミング良く、次の授業を知らせる
鐘が…学校に鳴り響く。

「鈴原さーんっ!
プリント配るの、手伝ってぇー」

「はーいっ!…そっか、私日直だ…

じゃっ、また来るねぇ~」

もう1人の日直に呼ばれた凜は、
真優に片手を軽く上げるとその方向へ
小走りでかけていく。

「ふぅ~……
次は数学か…」

凜の後ろ姿を見送って、真優の視線は窓の外へと戻る。

凜…ありがとう。

恋愛初心者で失恋の仕方が普通じゃなかった私は、

現実を受け入れるのに…ちょっぴり時間がかかってしまった。

すっかり、やる気を無くした私を…
救ってくれたのは、

凜だ。

暗かった私の道を、凜は明るく照らしてくれた。

凜と出会った頃の私…
きっと、すんごくネクラだったんだろーなぁ…

…ホントに有り難う…凜…

こんな世の中で、凜に会えた事は
私の宝だ。

いつの間にか始まった数学の授業。

暖かな日差しに照らされながら聞く、
数学の授業は…

何となく、あの塾を思わせた─

真優の頭に浮かぶ、
初めて会った時の先生の笑顔…。

…あんなにキレイな笑顔だったのに…

「…世知辛い世の中だぜ…」

今日、何度目かの
この言葉を…

真優は静かに口にした。

その言葉も、
すぐに空気へ…溶けていく─。

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