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人魚

第10章 引き裂かれた心

一通りの遊びを終えた蒼は
歌音の隣で眠りにおちた。


歌音は、立ち上がり
海が見える窓を開け
涙を流し
報われない恋を悲観した。


蒼の机の上に
人魚の絵本が置いてあった


月明かりを頼りに
一頁
一頁
読んだ。


登場する人魚の刹那さ無念さが
痛いほどわかる歌音は…

青白く
光を浴びる
蒼を見ながら


『あたしの、王子さまぢゃなかったの?』と

呟いた。

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