
いつか…
第5章 :あなたと
3月はほとんどが卒業式の練習で
午前授業の日々…
もちろんその間もばれないように
こそっと龍とメールをした
そして卒業式当日
さすがにメールはできない…
けど龍からは前日におめでとうを言われた。
卒業して高校の入学式までは休み
親に見つからないように龍とメールしていた…
その日は杏樹と遊ぶ約束があった。
龍とメールはできないけど
休みはまだたくさんある…
携帯は親がいるからもって出れない
遊ぶのは町田…
プリをとってお店をフラフラ見て回る
お昼が過ぎた頃
いきなりお店の電気が消えた…
そのあとすぐにとても強い揺れがきた
地下1階にいた私たち
そこは食品売り場で頭の上から
ビンの飲み物や食べ物が降ってくる
そう…
2011年3月11日
揺れが少しおさまったところで
店員に外に出るように言われた
なにもわからない状態
街は大勢の人で溢れていた
きっとみんな
それぞれのお店から外に出たのだろう
なにがあったのかなにもわからないまま
時間が過ぎる
杏樹のもってる携帯は繋がらない状態
一時間以上たってもかわらない
電車も止まっている
とりあえず私は公衆電話を探した
どこも人が長い列をつくっていた
そのなかでも空いている場所を探した
杏樹も携帯が繋がり
お互い親に連絡を入れた
龍…
杏樹が
「自分の携帯からメールしたらいい」
そう言ってくれた
けどアドレスをだいたいでしか覚えてなくて
届かなかった
もちろん今までメールだけで
電話したこともない
番号も知らない
とりあえず《大丈夫》って伝えたくても
連絡はとれない…
それから何時間も過ぎてひが沈んでいく…
電車はまだ動く気配がない
信号機は止まっていて車も立ち往生
私はまた親に連絡を入れ
電車が動かないことを伝えると
迎えに来ると言ってくれた
まだ寒い季節の夜
さっきまで何色にも光らなかった信号機は
何事もなかったように動いていた
杏樹と二人で大通りから見えるところで
親をまった
一時間半程して親がきた
杏樹と車に乗り家へ向かう
親が私の携帯を持ってきてくれていた
それを受け取り龍に隠れてメールをする
すごく心配してくれていた
杏樹を家へ送り自分の家へ帰った
その頃には夜の9時頃になっていた
