
いつか…
第5章 :あなたと
それからほとんど毎日
龍と連絡をとった
喧嘩もよくした…
けどいつも龍が大事にしてくれていた。
8月に一緒に出掛けよう
そんな約束もしたね
けど…
その約束も
私が間違ったことをしてなくなったね…
7月の終わり…
私は杏樹と月に1度ぐらいのペースで
遊んでいた
「万引き一緒にしない?」
そんな言葉いつもなら断るのに
この日私は自分を棄てるように
一緒に万引きをした。
親、親戚からの負担
自分を隠すように過ごす日々
それなのになにもないように
私を無視する自分
全てが嫌だった
とくに必要な訳じゃない物たちを
鞄の中に入れる
欲しい物なんて何もないのに
ただ…
自分なんてどうなってもいい
そう思っていた
きっと疲れていたんだと思う
いい子でいよう、
いい姉でいよう、
まわりにいい人に見られようとしていた
自分に…
私服警備員に連れられ警察にも行った
夜…
警察に親が迎えに来る
家に帰ってからも私の話なんか聞かずに
ひたすら怒られ続けた
「恥ずかしい」
「みっともない」
「どうしてそんなことしかできないの」
「他の家の子は…」
「そんな子に育てた覚えはない」
「どこの家の子だ」
親が私に言った言葉…
自分がいけないことをしたのはわかってる
けどこのとき私の中で
親からみた`自分´に気がついた
誰にでも愛想よくしてきた自分…
それは親をよく見せるためだけだった
私ってこんなものなんだ
その日…
自分を傷つけてもなにも思わなかった
私はこれがお似合い…
今まであった心の壁を
さらに誰にも近寄らせないようにしたのは
きっとこの日だった
龍にもその事を話した
もちろん怒られた…
`そんなやつと付き合いたくない´
そう言われるのを期待した
けど…
龍はそれ以上責めることもしなかった
<大丈夫だよ>
それが龍だった
<8月は会いに行けないけどごめんね>
龍の態度が誰よりも
側にいてくれてるように感じた
それからは監視の日々…
学校での生徒指導…
親、親戚からの軽蔑…
龍と連絡をとるのも減って
腕にはリストカットの傷が増えていった
