
巡 愛
第2章 言霊の……
小さい頃、北国の漁師だった父を亡くした私を、女手ひとつで育ててくれた母がそういう人だった。
女だと馬鹿にされないように、息子が片親だと馬鹿にされないように、文字通り母は必死に働いたのだ。
「いいか、伸行。お前は勉強しろ。そして働け。母ちゃんが言えるのはそれだけだ」
外で仕事をし、帰ってからも夜遅くまで内職をしてくれた母のおかげで、私は高校まで勉強に打ち込むことができ、奨学金で大学にも行けた。
だから私はどうしても頑張りたかった。
母の通した意地に報いたかった。
仕事で会社に、世の中に認められるようになってやる、そう思って働いたのだ。
女だと馬鹿にされないように、息子が片親だと馬鹿にされないように、文字通り母は必死に働いたのだ。
「いいか、伸行。お前は勉強しろ。そして働け。母ちゃんが言えるのはそれだけだ」
外で仕事をし、帰ってからも夜遅くまで内職をしてくれた母のおかげで、私は高校まで勉強に打ち込むことができ、奨学金で大学にも行けた。
だから私はどうしても頑張りたかった。
母の通した意地に報いたかった。
仕事で会社に、世の中に認められるようになってやる、そう思って働いたのだ。
