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 巡 愛 

第2章 言霊の……


 仕事にまみれたこんな私の日記に、カンナさんは毎日のように「お疲れ様」と体調を気遣うようなメッセージをくれた。

 読むに堪えない疲弊しきった文章もあったろうに……

 私にはそれが、受け止めてくれることがただただ嬉しかった。


 だが、なにも、妻が一言もねぎらってくれなかった訳ではない。

 むしろ、どんなに遅くなっても必ず「おかえりなさい」と出迎えてくれる、できた妻であった。

 日常の些細な不満のひとつも夫の私にぶつけることもなく、いつも柔らかな笑顔を浮かべて。

 おそらく妻だって、私がどんな愚痴をこぼしたとしても、黙って聞いてくれたに違いない。

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